第11号

皆さま、こんにちは、未踏通信編集局です。未踏通信 第11号をお送りします。
この未踏通信は、未踏OBからの技術関連コラム、未踏関連イベント情報、未踏関連の話題等、未踏事業に関わる情報をお知らせするメールニュースです。随時お送りしておりますのでご愛読ください。

TECHNOLOGY EYE(未踏OBが見た最新技術動向のコラム)

「進化を続ける C++」 鈴木 遼さん(2013年度未踏スーパークリエータ)

2013年度スーパークリエータの鈴木遼です。ゲームやインタラクティブメディアを楽しく簡単に制作できる C++ ライブラリ「Siv3D」(http://play-siv3d.hateblo.jp/) を開発しています。難解で重量級といった C++ のイメージとは裏腹に、10行のコードでお絵かきソフト、30行のコードでブロック崩しゲームが作れる手軽さで、中学生向けのプログラミング教室でも採用されています。
コードの短さの秘密の1つが、便利でパワフルな最新の C++ 規格の活用です。今回のコラムでは C++ の新規格にまつわる最近の動向をご紹介します。

2011年に、13年ぶりの大幅なC++規格更新となる通称 C++11 が策定され、型推論、無名関数、範囲ベース forループなど、他のプログラミング言語を参考にした便利な機能や、コードの安全性、実行時性能を向上させる多くの仕組みが導入されました。
2014年8月には後継となる C++14 の規格原案がまとまり、こちらは年内にも発行される見通しです。複雑なラムダ式やテンプレートを記述しやすくする機能や、2進数リテラル、桁区切り文字が導入されます。
こういった新しい機能を学びたい方には朗報です。来る2014年12月に、名著「Effective C++」のScott Meyers氏による C++11 / 14プログラミングのためのガイドライン集『Effective Modern C++』がオライリーから刊行されます。また国内でもcpprefjp (https://sites.google.com/site/cpprefjp/) を中心に、有志による情報共有が行われています。
C++14 の次には何が来るのでしょうか。現在2017年の規格策定を目標に、C++17の設計が進められています。標準ライブラリの追加や非同期処理の強化、コンパイル時間を劇的に改善できるモジュールシステムの導入などが議論・実験されています。
「Siv3D」でもこういった新機能を積極的に取り入れ、プログラミングをさらに楽しく簡単にすることを目指しています。
進化を続けるC++からますます目が離せません。

▼鈴木遼さんの開発した C++ ライブラリ「Siv3D」
http://play-siv3d.hateblo.jp/

EVENT INFORMATION (未踏関連イベントのご案内)

2014年12月16日(火)「未踏交流会Vol.15」開催
2013年度新OBの3つの講演とショートプレゼンテーション&懇親会

 12月16日(火)、産学連携を推進しているアキバテクノクラブ様と共催で下記のとおり「未踏交流会Vol.15」を開催します。
「未踏交流会」では毎回、当日の講演テーマにご興味のある方々を中心に、さまざまな方が参加され、その度に新しい出会いと交流が生まれ、未踏を中心とした輪が広がっています。
今回の講演は、新たに未踏OBになった2013年度修了クリエータの3人の講演です。以下のように、それぞれが未踏プロジェクトで創りあげた成果をもとに、今後の展開も見据えた話をしていただく盛りだくさんの内容です。■白久レイエス樹さん (スケルトニクス株式会社 代表取締役CEO)
「スケルトニクス株式会社を一年やってみての感想」
<講演内容>
2013年10月にスケルトニクスを法人化。遊びからビジネスへ一転、技術者視点からこの活動の一年について発表します。未踏の成果をビジネスにしたい人には何か参考になるかもしれません。

■鈴木遼さん (早稲田大学基幹理工学研究科 表現工学専攻)
「プログラミングを楽しく簡単に。C++ ライブラリ「Siv3D」の挑戦」
<講演内容>
10行でお絵描きソフト、30行でブロック崩し。短いコードで様々なゲームやインタラクティブメディアを開発できる C++ ライブラリ「Siv3D」を紹介します。

■竹井悠人さん (株式会社Emaki 取締役)
「予定管理アルゴリズムの模索」
<講演内容>
現代人は常に多くの予定に追われており、効率的な時間の使い方が求められます。本講演では、未踏で研究してきた自動での予定管理およびスケジューリングを行うアプリやアルゴリズムについて、その技術的な概要の紹介およびこれからの展望を交え、紹介したいと思います。

■ショートプレゼンテーション&懇親会
講演のあとの懇親会では、いつものように気軽な雰囲気の中でのコミュニケーションを楽しみながら、参加者によるショートプレゼンテーションも予定しています。ぜひ積極的にショートプレゼンテーションにもお申込みいただき、ご自分の日頃の活動、アイディア、成果などをご披露ください。
この機会を利用して、未踏OB・OGや、一般参加の方々、そしてアキバテクノクラブのメンバーの方々との交流によるコミュニティーの輪を広げていただければ幸いです。

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■「未踏交流会」開催概要
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開催日時:2014年12月16日(火) 17:00~20:00
開催場所:秋葉原ダイビル5F カンファレンスフロア5C
所 在 地:東京都千代田区外神田1-18-13 秋葉原ダイビル5F
交通案内:www.akibahall.jp/data/access.html
定  員:50名
参  加:・講演は無料(一般公開形式、事前申込み制)
・ショートプレゼンテーション&懇親会は1,000円(ドリンク・軽食代、事前申込み制)
▼講演の概要は、以下をご覧ください。
www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/2014/kouryukai20141216.html
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■「未踏交流会」参加申込み方法
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▼参加ご希望の方は、下記URLの受付ページよりお申込みください。(先着順で受付けし、満員の場合はお断りする場合もあります)
https://ipa-rcpt.ipa.go.jp/event_entry/index/54/
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■ショートプレゼンテーションのプレゼンテーター申込み方法
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ショートプレゼンテーションのプレゼンテーターを募集しています。以下宛にメールにてお申込みください。
申込メール送付先:mitou-hukyu@ipa.go.jp

▼詳しくは以下のページをご覧ください。
www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/2014/kouryukai20141216.html

MITOH NOW(未踏事業の近況報告)

本日、2014年11月17日(月)2015年度未踏事業 公募開始!
応募締切りは2015年3月18日(水)12:00(正午)

 2015年度の未踏事業の公募は、いよいよ、本日11月17日(月)に開始されました。
応募締切りは来年3月18日(水)12:00(正午)で、約4ヶ月の公募期間を確保しております。たくさんの応募者があることを期待して周知活動を行いますので、皆さまのご協力もよろしくお願いいたします。
未踏OB・OGの方でも、2011年度以前の採択者で、2015年4月1日時点で25歳未満であり、その他のいくつかの要件を満たしていれば、もう一度応募できますので、Webページで要件の詳細を確認の上、ぜひ再チャレンジしてください。
また、皆さまの周囲で、未踏に挑もうとしている方や、興味のありそうな方々にも、未踏事業の素晴らしさをお伝えいただき、応募をお勧めいただければと思います。以下の日程で未踏事業公募関連の説明会が行われます。
・東京会場 :2014年11月25日(火)18:00~20:00
・名古屋会場:2014年12月12日(金)16:00~18:00
・大阪会場 :2014年12月21日(日)14:00~16:00
・福岡会場 :2014年11月29日(土)12:20~14:30

このほかの地域でも、関係されている大学や高等専門学校等で、この公募にご興味を持たれていて説明会の実施を希望される学校がありましたら、できるだけIPAの担当者が説明に出向いて行くよう調整したいと思いますので、ぜひご紹介ください。

▼2015年度 未踏公募ページ
www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/2015/koubo_index.html

EVENT REPORT (未踏関連イベント・リポート)

情報処理学会「連続セミナー2014(第4回)」
IPA未踏事業セッションを実施

 去る10月17日(金)に化学会館(東京都千代田区)で開催された、情報処理学会「連続セミナー2014(第4回)」にて、IPA未踏事業セッションを実施しました。
本セッションでは、未踏事業の紹介とともに、「モバイル・クラウド時代を加速するIOT(Internet of Things)」というイベントテーマに沿って、2008年度未踏OBの青木俊介さん(ユカイ工学株式会社代表)と2009年度未踏OBの藤野真人さん(フェアリーデバイセズ株式会社代表取締役)に講演いただきました。
青木さんからはユカイ工学の「ロボティクスで世の中をユカイにする」をテーマに沿った、利便性向上とは違った観点のユニークなプロダクトについてご紹介いただきました。藤野さんは未踏での成果とともに、現在の取り組みである音情報処理クラウド「mimi」をご紹介いただき、そのパフォーマンスの高さは聴講者の興味を強く引きました。
当日は遠隔会議システムを利用し、大阪大学中之島センターでも、その講演を聴講いただき、2会場で約80名の方々にご聴講いただきました。▼情報処理学会「連続セミナー2014(第4回)」のプログラム
www.ipsj.or.jp/event/seminar/2014/program/2014-4.html

「IPAグローバルシンポジウム2014」
藤井PMと未踏OB久保渓さんが講演

 去る10月22日にIPAが主催する「IPAグローバルシンポジウム2014」が東京ミッドタウンホールで開催されました。講演の中には「IT人材育成セッション」が設けられ、未踏のプロジェクトマネージャーの藤井彰人さんと、2008年度未踏OBでウェブペイ株式会社代表取締役の久保渓さんが講演しました。
藤井PMの講演テーマは「日米ITビジネスの違いから考える、今後のIT人材育成の課題と期待」。日本企業と外資系企業の両方で仕事をした立場から、IT人材の考え方の違いとその長所と短所について論評しました。IT人材の多くがユーザ企業にいる欧米と、ITベンダーに偏在する日本との違いについての指摘は多くの示唆に富んだものでした。
久保さんは「未踏と起業」というテーマで、現在のウェブペイを設立したまでの経緯を紹介し、ECサイトの安全を確保するために誤解されている部分や欧米での厳しい基準を紹介し、そこにビジネスチャンスがあることを指摘しました。また、新たに始まったApplePayの先進性も解説。近未来でのクレジット決済のあるべき姿を解説しました。▼「IPAグローバルシンポジウム2014」開催報告
www.ipa.go.jp/about/event/globalsympo2014/index.html

未踏通信編集局より

 いよいよ2015年度の未踏IT人材発掘・育成事業の公募が始まりました。今回はこれまでより長めの公募期間を設けています。応募者の皆さんによりじっくりとアイデアを練っていただきたいからです。
来年3月18日の公募締切まで約4か月。IPAでは応募者の皆さんを後押しするためのコンテンツの提供も予定しています。未踏はアイデアを形にする場です。自由な発想で臨んでいただきたいと思いますので、周囲の方へのお声がけをよろしくお願いいたします。どんな”未踏”のアイデアが寄せられるのか、今から楽しみです。
▼未踏通信バックナンバーは以下をご覧ください。
http://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/tsushin/index.html
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